【癒心健身】治療家が伝える治癒力のつくり方  

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【千島・森下学説】学説からわかる医学の発展~

千島・森下学説は、千島喜久男博士と森下敬一博士が唱えた説です。 

最初に、この学説は現代医学の学説とはまったく異なるものになります。 

千島博士は戦前、戦後を通してニワトリの赤血球を観察し、赤血球からリンパ球、脂肪細胞、結合組織の母細胞、白血球などが作られることを発見しました。 

また1953年には、血液は骨髄細胞で作られるとする『骨髄造血説』に対し、血液は腸管で作られるとする『腸管造血説』を唱えました。 

現代医学からは異端児扱いを受ける中、千島学説の協力な援軍として現れたのが『森下自然医学』を立ち上げた森下敬一博士です。 

骨髄造血説に不信感を抱いていた森下博士は、ある日、池で泳ぐオタマジャクシをみて「手足のないオタマジャクシは、いったいどこで血液を作るのか」と考えました。  


また戦争で手足を失った兵士の患者を多く診ましたが、造血臓器である骨髄を失いながらも貧血にならないことに注目しました。 

これは、いったいどういうことだろうと考え、研究の虫だった博士は、東京歯科大学の研究室に寝泊まりしながら、兎の骨髄に出入りしている血管を止めては、兎の血液がどうなるのかを調べました。

その結果、兎の四肢を止めると全身の約90%の造血機能がなくなると算出できました。 

初めの4、5日目に赤血球は40%に減りましたが、14日目で元の70%にまで戻りました。 

一方、白血球は6~10日で約2倍に増え、12日くらいで元の状態に回復しました。 

赤血球が減ったのは骨髄機能の停止と考えられますが、白血球の増加は骨髄機能が停止したとする理論から考えられない現象ではないか。

このことを確認するために兎の四肢骨髄を検査してみると、脂肪細胞が増加し、造血亢進は見られませんでした。 

一方、血管を止めなかった肋骨や胸骨の骨髄は、理論的には造血亢進しているはずでしたが、認められませんでした。 

骨髄血管を止めたことで赤血球は減少したが、白血球数の増加が見られたのは何を意味しているのか、

実は当初、赤血球が減少したのは一般的な術後のストレスのせいであることがわかったのです! 

これらのことからわかったことは、

赤血球の増減も白血球の増減も骨髄の働きによるものでないということです。  


当時はもちろん、今の現代医学では「赤血球や白血球は高度に分化した終末細胞であり、増殖能はおろか他の細胞に転化したり、分化したりすることはあり得ない」とするのが定説です。

というのは、ドイツのウイルヒョウ先生が唱えた「細胞分裂によってのみ組織細胞が増殖する」という細胞分裂万能説が医学界では強固な常識となっていたからです。 

その考えに基づき、赤血球や白血球、血小板などの血液も骨髄で作られるという見解が大勢を占めていたのです。 


これに対し、森下博士は千島博士の『赤血球は非常に驚くべき潜在能力を持っており、生体のあらゆる組織細胞に分化してゆくのである』とする見解を支持しました。

先程の動物実験で骨髄造血説の矛盾を鋭く指摘し、さらに、これを裏づけるために、ヒキガエルの赤血球から白血球が生まれる動画も学会誌で発表しました。

森下博士の見解を要約すると

『人の体を流れている赤血球は腸で作られ、この赤血球が体中を循環し、そして体中のすべての組織細胞に変わってゆく。皮下脂肪細胞、肝臓や骨髄細胞も全部、赤血球から作られる、この腸で作られる赤血球の素材は食べ物であり、食は血になり、血は肉になる』ということです。 

こう述べた森下博士は、ガンは血液の質が悪くなったため起こる全身病であると説いています! 

一方、千島博士は『消化とは、腸内で咀嚼と消化液でドロドロ状となった食物モネラ』と名付けた食物栄養素が細胞新生を生み、絨毛上皮細胞が形成される現象である』と結論づけています。 

これは食は血となるとした森下説とかなり酷似しています!

ここで千島・森下博士もこの上皮細胞が成長し赤血球母細胞が形成され、やがて毛細血管に赤血球が放出されると説きました。


この学説は近年まで圧力を受け駆逐されていましたが万能細胞の研究、ノーベル賞などがきっかけになり、千島・森下学説が見直される機運が芽生えてきました!


【まとめ】

学説とは、言わば現代の教科書にもなっています。 

まず今回紹介した千島・森下学説が絶対に正しいと言うのではありません。

ただ学説は医学の根っこでもあるので幅広い認識が必要です。

仮説と検証で結果を認識したり、現在いくつかある原因不明の症状も根っこの違う学説から波形した治療法で治る可能性も否定できません。 

このように医学の可能性が根底の学説次第で治療法やアドバイスも変わります。